ひと夏の経験 素晴らしき高校生たち(3)

「大丈夫、大丈夫。みんなならできるよ。こういうことって、あなたたちの学校ではよく取り組んでいるでしょ。先輩たちは、海外の国際会議で英語でプレゼンしたこともあるし。大丈夫」
とかなんとか、言い繕って、不安げな高校生を前に、私は早速、本題に入る。

「つまりね、この日曜日、20日に、レインボースターズという南アフリカの子どもたちが日本にやってきているんだけど、大ホールでコンサートをするわけ。この活動は、ただ単に歌を聴いてもらうだけではなくて、南アフリカ共和国が抱える問題を世界中の多くの人たちに知ってもらおうと、ヘンリー・トーマスという音楽の先生が長年にわたって取り組んでいるもので、あなたたちには、ヘンリー先生にそのあたりのことを、英語で質問してほしいわけ。すなおに、高校生のみんなの感覚で質問してもらったいいんだけど、今からみんなで話し合って、質問事項をまとめてくれるかな。もちろん、質問は英語になおしてね」

増田の説明、5分。あとは、自分たちで考えて。
ずいぶん乱暴な問題提議だ。自分でもそう思った。でも、それ以上、ネタがない、というのが本音だった。私だって、南アフリカのこと、何も知らないんだから。

次の瞬間、私の不安は感動に変わる。
「分かりました」
いうなり、子どもたちは、早速、話し合いを始めたのだ。

080716-151127.jpg

「南アフリカってどこにあるんかなあ」
すると、全員が電子辞書をかばんから出してきて、地図を調べ出す。
「これって、日本から飛行機で何時間ぐらいかかるんやろう。」
「南ア共和国といえば、アパルトヘイトやんなあ。」
「ネルソン・マンデラという人もいたんちゃう」
「人種隔離政策って、なんでしたんやろう」
「日本にもおこりうるんやろか」「レインボースターズって、何で日本に毎年きているんやろう。他の国でもいいやん」
「日本についてどう思っているかをきいてみたいな」


次から次と、話題は尽きない。


分からないことが出てくると、電子辞書で調べていく子がいる。議事をまとめていく子、どんどん、質問形式に要約していく子、その横で、どんどん英語に翻訳していく子。
5人の高校生たちは見事な連係プレーで、質問項目をまとめあげていく。

ほぼ、内容がまとまってきたころ、一人の子が言う。
「私らが質問するねんから、わたしたちに期待していることとか聞きたいなあ」
「期待していること、というより、積極的に、わたしたちに何ができるんやろう、、というふうに聞いた方がいいんちゃうかな」
「そやな」
「わたしは、ヘンリーがこの活動で最も達成感を感じる時って言うのを聞いてみたい。」
「うんうん」

ここで、英語担当の子。
「達成感って、、、これって、英語でどういえばいいん? ヘンリー、あなたが最も達成感を感じるのはどんなときですかって。」
「単純で、難しいな。」
・・・・
(ここで、いろいろな表現を出し合うが、どうも、しっくり来ないようだ。いろいろな表現、については、英語音痴の増田には再生不能なため省略します。ごめんなさい。)

・・・・

あれやこれやと出し合った後、
「もうええやん。ヘンリーに聞いてみたらいいやん。こういうことを聞きたいんですが、英語でどう表現すればいいですかって」
「そやな。完成品にする必要、ないもんな」
ということに落ち着いた。

この日の話し合いでできあがった質問は次の通り。

1. Please tell us about South Africa.

2. What made you start this activity?

3. Why is there still racial discrimination?

4. Why did you choose Japan for this activity?

5. Have you ever felt any culture shocks in Japan?

6. What is your happiness through this activity?

7. Is there anything that we, boys and girls can do?

学校交流を終えて大蔵院に戻ってきたヘンリー・トーマスに質問事項を手渡し、金曜日の夕方6時から、再度、打合せを持つことになった。

このあと、子どもたちは、レインボースターズのメンバーと、写真を撮ったり、メールを交換したり。
初対面にもかかわらず、旧知の友人のように過ごした。
「めっちゃ楽しかったです」
その言葉に、何となく「イケル」予感を感じた。

だが、ヘンリーを交え金曜日にもたれたミーティングでは、思いもかけない展開が待っていた。

(次回に続く)

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このページは、編集オフィスマスダが2008年7月27日 12:07に書いたブログ記事です。

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