「あ、増田さん? いま、子どもたちが職員室に来ているんですけどね。とにかく、日曜日にインタビューをするようにと先生から言われたんだけど、何をしたらいいか分からないから、どうしたらいいですかって。」
明石西高の教頭先生から私の携帯電話に連絡があったのは、7月16日水曜日。コンサート本番を4日後に控えていた。すでに14日月曜日から、レインボースターズの面々は明石に入り、15日には野々池中学校で、この日は午前中に大蔵中学校で、学校交流を終えていた。そんな状況のときだった。
「なにも、聞いていないんですか??」
絶句する私。
「とりあえず、今すぐ、大蔵院に来るように子どもたちに伝えてください」
そういって電話を切ると、わたしもすぐに大蔵院に向かった。
大蔵院とは明石市大蔵町にあるお寺さん。レインボースターズは、明石での滞在中、ホストファミリーの皆さんのご協力を得て、ホームステイをしながら過ごしていたのだが、「大蔵院」の櫻木和尚に全面的に協力してもらい、本堂を拠点として、練習をしたり、打合せをしたり、パーティーをしたりしていたのである。この日も、林小学校との学校交流を終えると、一行は大蔵院に戻ってくる予定になっていた。
「ムリです。そんなことできないです。」
子どもたちに、この企画自体を断られたらどうしよう。
不安ばかりを募らせ大蔵院に急ぐ。
待ち合わせの場所に着くなり、そんな不安は一気に吹き飛んだ。
大蔵院の中庭や本堂では、楽しそうに写メールを撮りあっている明るい4人の制服姿の高校生たちの声が響き渡っている。と一人の少年。
「先輩、こんにちわ。どうぞ中に入ってください」
「なんで? なんでここにいるの? 梅宮君」
梅宮君は4人の高校生と同じ西高国際人間科の1年。お母さんに一行の通訳をお願いしていたことから、月曜日のウエルカムパーティーから手伝ってもらっていた。
この日も、半ドンの授業を終えると直接、大蔵院に「帰宅」して、お弁当を食べていた。そこへ、突然、先輩たちがやってきたというわけである。梅宮君もお母さん同様、英会話は達者でわたしたち実行委員会にとって、貴重な戦力となっていた。そして彼も先輩たちも、同じESSクラブのメンバーだった。
すでに梅宮君がいたことから、先輩たちの緊張も一気にとけたのだろう、それでも、私を見つめる目は実に不安気。
「何をすればいいんですか。どうしたらいいか、分からないんです、まったく」
聞けば、担当の教諭が体調を崩し入院中だという。そりゃ、緊急事態。聞いてないよ、そんなこと。っていっても、やるっきゃない。本番は4日後なのだから。
(次回に続く)

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